解説記事 / 助成金

AI研修に助成金を使う完全ガイド
— 最終年度の人材開発支援助成金

中小企業のAI研修費用を大きく下げる「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」は、令和8年度(〜2027年3月)が最終年度とされています。使うなら今年度が実質最後。制度の実務を、研修を提供する事業者の立場から解説します。

先にお断り: 助成金の支給可否・金額は労働局の審査で決まります。本記事は制度理解のための解説で、支給を保証するものではありません。最新の要件は必ず厚生労働省の公表資料でご確認ください。申請実務は社会保険労務士との連携をおすすめします。

1. 制度の概要 — 何がどれだけ助成されるのか

人材開発支援助成金は、従業員に職業訓練を実施した企業を支援する厚生労働省の制度です。その中の「事業展開等リスキリング支援コース」は、新規事業やDX・AI化に対応するためのリスキリング訓練を対象にしており、AI研修と相性のよいコースです。

令和8年度の改正では、事業展開に伴う訓練に加えて「人事・人材育成計画に基づく訓練」も対象化され、設備投資加算も新設されるなど、使いやすさが増しています。

2. 実質負担の計算例

ケース研修費用経費助成(75%)実質負担
1日研修(6時間・10名)30万円▲22.5万円7.5万円
2日集中(12時間・10名)60万円▲45万円15万円

さらに賃金助成(例: 10名×6時間×1,000円=6万円)が別途支給されれば、実質負担はさらに下がります。「研修は高い」という前提が、この制度の期間中だけは成り立ちません

注意: 助成対象になるには訓練時間の下限(10時間以上等)などの要件があります。半日3時間の単発研修は単体では要件を満たさないため、複数回の研修を組み合わせた計画設計が必要です。ここが研修会社の設計力の見せ所になります。

3. 対象になる研修・ならない研修

対象になりやすいのは、事業展開・DX・AI化に必要な知識・技能を体系的に学ぶAI研修です。生成AIの業務活用、データ活用、業務自動化などのカリキュラムが該当し得ます。

一方、次のようなものは対象外・対象になりにくいとされています。

またeラーニングは経費助成の上限が集合研修と異なる場合があるため、形式選びの段階で制度要件を確認しておくのが安全です。

4. 申請の流れと期限感覚

  1. 研修計画の設計 — カリキュラム・時間数を助成要件に合わせて組む(研修会社と共同で)
  2. 訓練実施計画届の提出 — 訓練開始日の1ヶ月前までに労働局へ(ここが最初の締切)
  3. 研修の実施 — 出席記録・実施記録を確実に残す
  4. 支給申請 — 訓練終了後の申請期限内に提出
  5. 審査・支給 — 労働局の審査を経て支給決定

重要なのは「研修をやってから申請」ではなく「計画届が先」だという点です。思い立ってすぐ研修を実施すると、制度が使えません。研修日から逆算して1ヶ月以上前に動き始めてください。

5. つまずきやすいポイント

6. 「最終年度」が意味すること

事業展開等リスキリング支援コースは時限措置で、令和8年度(〜2027年3月末)で終了予定とされています。つまり——

「いつかAI研修をやろう」と思っていた企業にとって、経済合理性が最も高いのは今年度です。

7. よくある質問

Q. 申請は自社でできますか?

可能ですが、書類と要件確認の負担は小さくありません。社会保険労務士に依頼するか、申請サポートに慣れた研修会社と組むのが現実的です。当社は提携社労士と連携して手続きの流れをご案内しています。

Q. 一人会社・役員だけの会社でも使えますか?

受講者は雇用保険被保険者である必要があるため、役員のみの会社は対象外になるのが原則です。従業員を雇用している会社が対象と考えてください。

Q. どんなAI研修なら要件を満たせますか?

時間要件(10時間以上等)を満たす体系的なカリキュラムが前提です。当社では、基礎研修+実装ワークショップ+フォローアップを組み合わせて要件を満たす形の設計をしています。詳細は研修・導入支援のページをご覧ください。

要件に合う研修設計から、一緒に組み立てます。

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